治療の差控えと中止の区別に関する倫理学的検討
■日時: 2006年12月16日(土)午後2時〜4時
■場所: 早稲田大学14号館(5階)516号共同教室
http://www.waseda.jp/jp/campus/nishi_up.html
■参加費: 500円
■講師: 児玉 聡 先生(東京大学大学院医学系研究科医療倫理学研究室助手)
■演題: 「治療の差控えと中止の区別に関する倫理学的検討」
■講演要旨:
先日、厚生労働省による「終末期医療に関するガイドライン」のたたき台が公表された。このたたき台は、積極的安楽死と自殺幇助を禁止すること、および終末期医療における意思決定のプロセスを述べている点で実質的内容を持つと言える。しかし、終末期医療で重視すべき倫理原則が何なのかが明らかにされていないため、たとえば意思決定のプロセスでは患者の自己決定が重視されているのに、なぜ自発的な積極的安楽死は認められないのか、といった点が不明確である。また、今日の日本の終末期医療において最大の論点となっている治療の差控えと中止の区別に関して言及がないため、先の道立羽幌病院事件や富山県射水市民病院事件で問題になった治療の中止の事例に関して何の役にも立たないガイドラインになってしまう恐れがある。本発表では、この治療の差控えと中止の間に「道徳的に重要な違い」があるのかという問いについて、終末期医療で重視すべき倫理原則は何かという問題を考慮に入れながら、倫理学的な検討を行う。
【講師略歴】
京都大学大学院文学研究科で倫理学を専攻(2006年文学博士)。2003年10月から東京大学大学院医学系研究科の医療倫理学研究室で助手を務める。
著訳書に『入門・医療倫理I』(赤林朗編)、『生命倫理学と功利主義』(伊勢田・樫編)、『臨床倫理学第5版』(A・ジョンセン著)など。