母体血清マーカー検査における「自己決定権」−検査提供側の論理を中心に−
■日時: 2007年10月13日 午後3時〜
■場所: 立教大学池袋キャンパス13号館会議室
http://www.rikkyo.ac.jp/grp/kohoka/campusnavi/ikebukuro/index.html
(Jの建物)
■参加費: 500円
■講師: 天沼 理恵 先生(本庄児玉看護専門学校非常勤講師)
■演題: 「母体血清マーカー検査における「自己決定権」
−検査提供側の論理を中心に−」
■講演要旨:
近年の生殖医療技術の発展にはめざましいものがあります。従来は、研究によって生み出された成果をいち早く、広く臨床応用することが国民の福祉に叶うことであると考えられてきました。しかし、更なる生命医科学技術の発展は、従来の枠組では対処できない問題を提示するようになってきています。その一例として、今回は、出生前診断技術のうち、特に母体血清マーカー検査を取り上げて考えてみたいと思います。この検査は、これまで、医師や患者である女性の側の視点から、女性の自己決定権をめぐる問題や優生思想を中心に議論され、旧厚生省の厚生科学審議会でも審議されてその運用に制限が加えられてきました。しかし、本報告では、この検査を商品化して販売し臨床応用してきた検査会社の側から、その検査推進論理に焦点をあてて考えてみたいと思います。運用制限である「母体血清マーカー検査に関する見解」から8年経った現在、臨床現場からは、「検査の積極的情報提供はしない」というあり方について、患者の「知る権利」との兼ね合いへの疑問も出てきています。この検査の推進論理とは何か、また、運用制限の妥当性や検査の今後のあり方などを含む、この検査推進論理の意味することは何かについて皆様と一緒に考えていければと思っています。
【講師略歴】
天沼理恵(あまぬま・りえ)
1984年 東京女子大学文理学部社会学科卒業、2006年
3月立教大学コミュニティ福祉学研究科博士課程前期課程修了。
現在、本庄児玉看護専門学校非常勤講師。
論文:2007「家族員との死別体験とその意味」『死の人間学』(共著)2007、
「母体血清マーカー検査の語られ方
―臨床検査会社の調査を中心に―」(修士論文)2006等