医療モデルと基礎研究:生命倫理学への示唆を
■日時: 2004年6月5日(土) 午後3時〜
■場所: 早稲田大学西早稲田キャンパス14号館804号室
※アクセス図は下記URLをご参照下さい。
⇒早稲田大学西早稲田キャンパス
⇒14号館804号室 (北門近くの四角形の建物)
■参加費: 500円
■講師: 林 真理 先生 (工学院大学)
■演題: 「医療モデルと基礎研究:生命倫理学への示唆を」
■報告要旨:
現代の科学・技術における基礎研究と臨床応用との関係は、基礎研究がまずあって、その後それが応用(臨床)に生かされるといういわゆるリニアモデルでとらえることはできない。両者は非常に複雑な関係のもとにある。とりわけ生命科学・技術において特徴的なのは、特定の「医療モデル」が研究の推進を正当化し、その研究がさらに臨床の可能性を広げていくという関係である。このことをヒトの遺伝子研究(ガン研究、ヒトゲノム計画、SNP研究)を例にして説明する。
こういった両者の関係を前提にしたとき、倫理的考察は2通りの役割を果たすことになることが予想される。すでに出た研究成果が臨床に応用されることの是非がまず第一に問題となるし、実際そうなってきた。こういった問題は、個々のテクノロジーのもたらす利益、安全性や問題点を踏まえた倫理的正当化の問題ということができる。
他方で、倫理的考察は基礎研究それ自体を問題にしうる。それはその研究のもたらす様々な可能性を具体的、客観的に想定しつつ、そういった研究を社会の中で推進していく是非に関するものである。生命科学・技術がもたらす様々な問題点にあらかじめ警告を発すること、あるいはそもそもより良い研究や医療とはどのようなものか、あるいはそれをどのような形で探求・提案しうるのかを考えることもまた倫理的な課題になるのではないだろうか。
【講師略歴】
林 真理(はやし まこと)
1992年3月 東京大学大学院理学系研究科科学史科学基礎論専攻博士課程退学
1997年8月 東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻助手
1999年4月 工学院大学専任講師
2002年4月 同助教授
【参考URL】
・工学院大学サイト内・林真理氏 紹介ページ
・工学院大学サイト内・林真理氏・個人ページ