2012年03月01日

学校めぐり(定例研究会)のご案内


iモード 「認知症ケアの倫理」


◆日時: 2012年3月17日(土) 15:00〜(2時間程度を予定)
       
◆テーマ: 「認知症ケアの倫理」

◆オーガナイザー:  箕岡 真子 氏 (医師)

◆概要:
今回は、昨年10/16に早稲田大学で行われた第23回日本生命倫理学会年次大会の一般演題にて発表を行った「日本における事前指示の現状と将来的展望― 認知症ケア提供者を対象としたアンケート調査から ―」(川上祐美, 空閑厚樹, 角田ますみ, 足立智孝, 前川健一, 河原直人, 窪田共和, 箕岡真子)をもとに検討を行う予定です。共同演者でない方にもご参加頂き、忌憚ないご意見をお聞かせくださいましたら幸いです。


◆会場: 早稲田大学120号館5号棟セミナー室(研究開発センター(旧・早稲田実業)敷地内)
       「先端科学・健康医療融合研究機構」という看板が立っておりますので,
        そこに入っていただき,玄関でスリッパに履き替えください。
        http://www.waseda.jp/scoe/

◆参加申し込み
今回は会場のセキュリティー及び資料準備の関係上、参加を希望される方は
必ず前日までに本会代表までご一報くださいますようお願いいたします。



(以上)



posted by BSN事務局 at 18:44| ■ 定例研究会「学校めぐり」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月17日

学校めぐり(定例研究会)のご案内

地震の影響により、下記研究会は延期とさせて頂きます。
新たな日程が決まり次第、本ページおよびMLにてご連絡いたします。

被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。



iモード 「認知症ケアの倫理」


■日時: 2011年3月26日(土) 15:00〜(2時間程度を予定)

■場所: 立教大学池袋キャンパス 12号館 第3会議室(地下1階)
       http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/campusmap/
       12号館は真ん中の建物です↑

■テーマ: 「認知症ケアの倫理」

■講師:   箕岡 真子 氏 (医師)

■テキスト: 『認知症ケアの倫理―ethics of dementia care』
         箕岡真子/著、ワールドプランニング、2010

■概要:
 認知症は、病状の進行とともに、自分のことを自分で出来なくなる自立Independenceの障害、および自分のことを自分で決めること が出来なくなる(もう一つの)自律Autonomyの障害が起こってきます。このような認知症を「一人の生活者」として尊重するためには、彼らの 人格パーソンをどのようにとらえたらよいのか? あるいは自律Autonomyの概念をとらえ直す必要があるのではないか?といったことから話を 始めさせていただきます。その後、認知症終末期の延命治療であるPEG胃ろうについて言及し、将来の認知症の人々のautonomyを尊重するた めには、事前指示の普及が欠かせないということについて考えていきたいと思います。

【主な著書】
・『ケースから学ぶ高齢者ケアにおける介護倫理』医歯薬出版、2008
・『生命倫理/医療倫理 (医療経営士初級テキスト8)』日本医療企画、2010
など


(以上)
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2010年02月17日

学校めぐり(定例研究会)のご案内

iモード 「代理懐胎の系譜とイメージ--奴隷・貸し腹・ボランティア」



■日時: 2010年3月6日(土) 15:00〜(2時間程度)

■場所: 立教大学 池袋キャンパス タッカーホール3階
      http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/campus.html
      地図の真ん中少し下の建物です。
      場所が分からない場合は、「タッカー3階会議室」と受付で聞いてください。

■参加費: BSN会員:無料、 非会員:500円


■テーマ: 代理懐胎の系譜とイメージ--奴隷・貸し腹・ボランティア

■講師: 柳原 良江 氏

■要旨:
代理懐胎は生殖テクノロジーにより生じた極めて現代的な問題として語られてきた
が、その原型となる「貸し腹」(トラディショナル・サロガシー)は従来からさまざ
まな文化の中で実施されてきたものであり、取り立てて新しい問題ではない。このよ
うな歴史的背景を踏まえた時、代理懐胎とは、この行為が医療化される過程で新たな
視点による正当性を獲得しながら、古典的な女性の身体利用を変容させた形に過ぎな
いのではないかという仮説が浮かぶ。この問いへの答えを引き出すため、本報告で
は、まず科学技術の結果として代理懐胎が出現する以前に遡り、代理懐胎の系譜をた
どる。その上で、視点を現代の状況に移し、大衆雑誌に表れた言説をもとに、「代理
懐胎(または代理出産、代理母出産)」という名称の身体利用が、科学的言説と女性
のジェンダー心理を用いながら正当性を獲得していく姿を追っていく。それらの現状
をふまえた上で、代理懐胎を慈悲に満ちた自発的行為とみなす捉え方が有効性を持つ
かどうかについて検討したい。

【講師略歴】
東京大学大学院人文社会系研究科グローバルCOE「死生学の展開と組織化」特任研究
員。
2003年早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了後、
お茶の水女子大学大学院21世紀COEプログラム「ジェンダー研究のフロンティア」
ポスドク研究員を経て、現職。博士(人間科学)

【主な業績】
「「親になること」におけるジェンダーの力学--レズビアン・マザーたちのライフヒ
ストリーの語りから」,『F-GENSジャーナル』,9:135-143.
「妊娠・出産の代行にともなう倫理的問題」,『生命倫理』,18(1):170-177.

(以上)


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2009年01月14日

2008年8月度「学校めぐり」のご案内 <過去記録>


iモード エンハンスメント論の歴史性と優生主義の現在性


■日時: 2008年8月9日(土) 15:00〜

■場所: 立教大学(池袋校舎)12号館地下第四会議室
        http://univ.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/campus.html

■参加費: 500円


■講師: 土屋 敦 先生(東京大学大学院人文社会系研究科特任研究員)

■演題: 「エンハンスメント論の歴史性と優生主義の現在性」


■講演要旨:
本報告では、近年展開されているエンハンスメント論の諸相を歴史的及び現在的視座
双方から検討することにより、同論争が有している歴史性を検証すること、及び同論
争が依拠している論争の台座を相対化することを目的としている。その際、エンハン
スメント論の中でも、特に遺伝学的エンハンスメント(Genetic Enhancement)をめ
ぐる諸議論を分析対象として設定し た上で、そこに孕まれる「先端生命科学技術」
に対する「文化的期待」のあり方自体が有する歴史性を検証することに力点を置く。
また同作業は、近年のエンハンスメント論の中に、現在的な優生主義の諸相を、歴史
的視座から炙り出す作業が含まれる。また、そこには、他ならぬ近年においてエンハ
ンスメント論争が興隆するその同時代的土壌のあり方を、歴史的視座から析出する作
業が含まれる。その意味で本報告は、他ならぬ00年代の現在においてエンハンスメン
ト論が議論の遡上に挙げられ、膨大な数の論考が提示されるその背景と、またそれら
の論争と過去に展開された生命科学技術論争との接合点とを析出するメタ・バイオエ
シックス的な視座からの作業に当てられる。


【講師略歴】
土屋敦(つちや・あつし)
1977年神奈川県生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。東京大学大学院人文社会系研究科社会学専門分野博士課程単位取得退学。2008年4月より東京大学大学院人文社会系研究科グローバルCOE「死生学の展開と組織化」特任研究員。
専門:生命倫理、医療社会学、科学技術社会学

【主要論文】
・「エンハンスメント論争をめぐる見取り図 ―歴史的源泉と現在的争点を中心に
−」(上田昌文・渡部麻衣子編『エンハンスメント論争』社会評論社所有)2008年7

・「日本社会における「胎児をめぐる生命主義」の源流」『ソシオロゴス』28号 96
−115頁 2004年8月
・「北東アジアの優生法―日本・韓国・台湾・中国の立法過程比較分析から」『コロ
キウム』(創刊号)2006年5月
・「「不幸な子どもの生まれない運動」と羊水検査の歴史的受容過程―「障害児」抑
制政策(1960年代半ば−1970年代初頭)興隆の社会構造的要因」『生命倫理学研
究』vol.17.no.1(2007年 10月)
・「遺伝子技術に対する社会的受容意識の形成要因―「知識欠如モデル(Deficit
Model)」の検証を中心に)」『ソシオロゴス』vol.32 (2008年)
他。


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2008年5月度「学校めぐり」のご案内 <過去記録>


iモード 「エンハンスメント」が問題となることの問題について


■日時: 2008年5月24日(土) 午後3時〜

■場所: 立教大学池袋キャンパス6号館第一会議室
        http://www.rikkyo.ac.jp/grp/kohoka/campusnavi/ikebukuro/index.html
        (会場が変更の可能性があります。変更の場合は同会議室ドアに張り紙を
         しますので遅れて参加される方はご注意ください。)

■参加費: 500円

■講師: 空閑 厚樹 先生(立教大学)

■演題: 「エンハンスメント」が問題となることの問題について


■講演要旨:
 現在、「エンハンスメント」が生命倫理学における議論において様々な重要な論点を提示しています。その理由として以下二点が考えられるのではないでしょうか。第一に、「エンハンスメント」によって得られる能力増強は、一般に「良いものである」と考えられていること。そして第二に、生命倫理学や医療倫理学の議論において従来一定の説得力をもって受け入れられてきた「自己決定」や「透明性」「説明責任」などの概念だけでは、「エンハンスメント」の提起している問題を適切に論じることができないという点です。本報告では一点目についてはどのような意味で私たちは能力増強を「良いものである」と考えているのかという点を批判的に検討します。二点目についてはバイオエシックスの「バイオ」(生命倫理学の「生命」)に注目して考えてみたいと思っています。


【講師略歴】
空閑厚樹(くが・あつき)
立教大学コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科教員
主要著書・論文
「<人間となる>ために―「エンハンスメント」はどのような意味で「問題」なのか―」『現代思想』2008年6月号
「<楽しい>を支える多様性」村上和夫他編著『たのしみを解剖する』現代書館2008年


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2009年01月13日

2007年10月度「学校めぐり」のご案内 <過去記録>


iモード 母体血清マーカー検査における「自己決定権」−検査提供側の論理を中心に−


■日時: 2007年10月13日 午後3時〜

■場所: 立教大学池袋キャンパス13号館会議室
        http://www.rikkyo.ac.jp/grp/kohoka/campusnavi/ikebukuro/index.html
        (Jの建物)

■参加費: 500円


■講師: 天沼 理恵 先生(本庄児玉看護専門学校非常勤講師)


■演題: 「母体血清マーカー検査における「自己決定権」
                     −検査提供側の論理を中心に−」



■講演要旨:
 近年の生殖医療技術の発展にはめざましいものがあります。従来は、研究によって生み出された成果をいち早く、広く臨床応用することが国民の福祉に叶うことであると考えられてきました。しかし、更なる生命医科学技術の発展は、従来の枠組では対処できない問題を提示するようになってきています。その一例として、今回は、出生前診断技術のうち、特に母体血清マーカー検査を取り上げて考えてみたいと思います。この検査は、これまで、医師や患者である女性の側の視点から、女性の自己決定権をめぐる問題や優生思想を中心に議論され、旧厚生省の厚生科学審議会でも審議されてその運用に制限が加えられてきました。しかし、本報告では、この検査を商品化して販売し臨床応用してきた検査会社の側から、その検査推進論理に焦点をあてて考えてみたいと思います。運用制限である「母体血清マーカー検査に関する見解」から8年経った現在、臨床現場からは、「検査の積極的情報提供はしない」というあり方について、患者の「知る権利」との兼ね合いへの疑問も出てきています。この検査の推進論理とは何か、また、運用制限の妥当性や検査の今後のあり方などを含む、この検査推進論理の意味することは何かについて皆様と一緒に考えていければと思っています。


【講師略歴】
天沼理恵(あまぬま・りえ)
1984年 東京女子大学文理学部社会学科卒業、2006年
3月立教大学コミュニティ福祉学研究科博士課程前期課程修了。
現在、本庄児玉看護専門学校非常勤講師。
論文:2007「家族員との死別体験とその意味」『死の人間学』(共著)2007、
「母体血清マーカー検査の語られ方
―臨床検査会社の調査を中心に―」(修士論文)2006等


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2007年9月度「学校めぐり」のご案内 <過去記録>


iモード 宗教に何ができるのか−−日本における(生命)倫理と宗教をめぐって


■日時: 2007年9月29日 午後3時〜

■場所: 立教大学池袋キャンパス13号館会議室
        http://www.rikkyo.ne.jp/grp/kohoka/campusnavi/ikebukuro/index.html
        (Jの建物)

■参加費: 500円


■講師: 前川 健一 先生((財)東洋哲学研究所研究員)


■演題: 「宗教に何ができるのか−−日本における(生命)倫理と宗教をめぐって」


■講演要旨:
 現在、日本宗教学会では「宗教文化教育士(仮称)」なる資格の創設が論じられている。「異文化理解や自らの伝統的文化の理解に資するような資格」とのことであるが、ここに「社会貢献」を通じての宗教学の延命という意図を感じるのは容易であろう。こうした「社会貢献」の領域として大きな関心を集めているのが、死生をめぐる分野である。たしかに宗教的な知は長年にわたって死生の問題にかかわってきたし、社会もまたその点での宗教の寄与を少なからず期待してきた(「苦しい時の神頼み」であったにせよ)。しかし、今日我々が直面している「死生」をめぐる問題は、過去の宗教的知を参照することで解けるような問題なのだろうか?
我々は宗教に何を期待できるのだろうか?
日本における仏教と生命倫理学の問題を手がかりにしながら、現代(日本)社会における宗教の意義を考えてみたい。


【講師略歴】
前川健一(まえがわ・けんいち)
1968年、三重県名張市生まれ。日本仏教思想史専攻。博士(文学)。
(財)東洋哲学研究所研究員。共著書に『死生観と生命倫理』『現代と仏教』『友人葬の現在』。


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2007年7月度「学校めぐり」のご案内 <過去記録>


iモード アカデミーの外に出て


■日時: 2007年7月7日(土)午後3時〜

■場所: 立教大学池袋キャンパス ミッチェル館
        http://www.rikkyo.ne.jp/grp/kohoka/campusnavi/ikebukuro/index.html
        上記アクセスマップの@の建物です。

■参加費: 500円


■講師: 加藤 牧菜 先生(オフィス マキナ)

■演題: 「アカデミーの外に出て」


■講演要旨:
 大学院での研究を通して、バイオに関するコミュニケーションの重要性を感じ、自宅等で一般市民向けの小講座を企画した。2006年、独立して、株式会社オフィスマキナを設立。イベント企画・制作の請負、学術活動のサポート、教育に関する事業等を行なっている。
 以上の活動の紹介を通して、研究と一般市民とのコミュニケーションについて考えてみたい。


【講師略歴】
1976年東京生まれ。1999年、筑波大学第二学群生物学類卒業。2004年、同大学院生物科学研究科修了。
2004年から2006年春まで、京都大学生命科学研究科生命文化学分野にて研究員として勤務。
博士(博士号取得論文「バイオテクノロジー企業における生命倫理」)。


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2007年5月度「学校めぐり」のご案内 <過去記録>


iモード 共感のヒトにおける独自性から倫理教育を考える


■日時: 2007年5月26日 15時〜

■場所: 立教大学池袋キャンパス13号館会議室
          http://www.rikkyo.ne.jp/grp/kohoka/campusnavi/ikebukuro/index.html
          の11番の建物です。12番の建物から入ります。

■参加費: 500円


■講師: 川上 祐美 先生(早稲田大学人間総合研究センター)

■演題: 「共感のヒトにおける独自性から倫理教育を考える」


■講演要旨:
 個人主義偏重の現代的価値観のなかで他者との関係性が希薄化されているということがいわれるが、その故に、倫理はここ十年でその中心的な理念が、従来の「自律」「自己決定」ということから、それらを相互性・関係性の中で捉えていくということが重視されるようになってきた。もとより人間としての社会生活を営むことから、自己と他者は競合しつつも依存関係にあり、それは臨床におけるケアの倫理の問題にいたるまで同様に、人間相互の関係の中で倫理を考えていく必要がある。そこで今回、そのような倫理の根幹となる要素の一つとして「共感」という性質に着目した。この基本的な情動の由来と人間におけるその独自性という観点から、倫理教育の可能性を再考したい。


【講師略歴】
2007年早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。
現在、早稲田大学人間総合研究センター客員研究員。
同大学人間科学部他、看護学校などで非常勤講師を兼任。


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2009年01月12日

2006年12月度「学校めぐり」のご案内 <過去記録>


iモード 治療の差控えと中止の区別に関する倫理学的検討


■日時: 2006年12月16日(土)午後2時〜4時

■場所: 早稲田大学14号館(5階)516号共同教室
         http://www.waseda.jp/jp/campus/nishi_up.html

■参加費: 500円


■講師: 児玉 聡 先生(東京大学大学院医学系研究科医療倫理学研究室助手)

■演題: 「治療の差控えと中止の区別に関する倫理学的検討」


■講演要旨:
 先日、厚生労働省による「終末期医療に関するガイドライン」のたたき台が公表された。このたたき台は、積極的安楽死と自殺幇助を禁止すること、および終末期医療における意思決定のプロセスを述べている点で実質的内容を持つと言える。しかし、終末期医療で重視すべき倫理原則が何なのかが明らかにされていないため、たとえば意思決定のプロセスでは患者の自己決定が重視されているのに、なぜ自発的な積極的安楽死は認められないのか、といった点が不明確である。また、今日の日本の終末期医療において最大の論点となっている治療の差控えと中止の区別に関して言及がないため、先の道立羽幌病院事件や富山県射水市民病院事件で問題になった治療の中止の事例に関して何の役にも立たないガイドラインになってしまう恐れがある。本発表では、この治療の差控えと中止の間に「道徳的に重要な違い」があるのかという問いについて、終末期医療で重視すべき倫理原則は何かという問題を考慮に入れながら、倫理学的な検討を行う。


【講師略歴】
 京都大学大学院文学研究科で倫理学を専攻(2006年文学博士)。2003年10月から東京大学大学院医学系研究科の医療倫理学研究室で助手を務める。
 著訳書に『入門・医療倫理I』(赤林朗編)、『生命倫理学と功利主義』(伊勢田・樫編)、『臨床倫理学第5版』(A・ジョンセン著)など。


posted by BSN事務局 at 03:00| Comment(0) | ■ 定例研究会「学校めぐり」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする